【外来の栽培種】
強い粘りやアクも特徴だが、伸びも自然生ならではの際立った特性です。
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●形質・品種・品質
「じねんじょうと言ってもピンからキリまで」
日本固有の自生種じねんじょうですが、他の山芋類との分類上の違いは前に述べました。しかし、このじねんじょうにおきましても、地域、生育環境によって雑多な品種があって、日本全国の山々どこで採取しても、圃場で育成しても全てが同じ形質・品質とはいきません。(同じ種を植えても環境で変化を起こす→馴化の項を参照ください)
また、同じタネを使ったとしても、ソメイヨシノのように接ぎ木で増やすものとは違って、形質を完全にリピートするとは限らず、場所を変えれば、その環境に合わせた馴化によって品質は変化していきます。
天然の山掘りじねんじょうにおいても、食味・風味にバラツキがあって一様ではありません。よく言われる「栽培ものは、天然に劣る」というのは、的外れな言い様です。天然=ベストという変な神話がまかり通っていますが、モノそのものを見極めることが大切です。天然ですから品質がバラけるのは当然で、美味しいヤマノイモ、不味いもの、形質もいろいろあってしかるべきものだと言えます。
食材として流通している「ヤマノイモ」を、食味・風味・形質から大きく4つに大別したものが、上記のA〜Dです。
じねんじょうは、土の硬軟で伸長が変化し、石や岩、多湿を避けて成長するので、蛇のようにグネグネと曲がった形状となります。天然の野生種は特にその形質が強く、普通は障害物の少ない圃場で育成すると、まっすぐに伸長して育ちますが、(A)の野生種ではその曲がる性質は失われず、図のようなヤマイモらしい姿になります。
生でかじって食しても、甘く優しい風味があり、そして、摺おろしてとろろ状にすると、たちまちに褐変して赤土の香りのような風味を醸し出します。さらに、特筆すべきは繊維の伸びです。おろし金で切おろすのではなく、すり鉢で丹念にダシ汁を加えながら摺伸ばしていくと、5倍ほどのダシ汁にも耐えることができ、風味が倍増していきます。
また、褐変の素であるポルフェノール類(健康機能性)もB・C・Dより多く、含有量が2倍ほど差異があることも検証されています。(下図グラフ参照)
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